とりあえず、ロジバンの記号を与える前に、自作言語の語で説明します。(発音はロジバンと同じ)
まず、基本となる語が
・ le- : 開始点
・ ce- : 終了点
・ mu- : 開始点と終了点の間
です。ロジバンで対応させれば、{co'a}, {co'u}, {ca'o} ですね。
で、次の方向を表す語を導入します。
・ ne- : より前段階
・ tse- : より後段階
自作言語ではこれにより、"lene-"で「開始点より前段階」、つまり{pu'o}(未然の意味)に相当する語を作ったり、"cetse-"で「終了点より後段階」、つまり{ba'o}に相当する語を作っています。
で、さらに(これが結構大事)、距離を表す語として、
・ -ib- : 参照点近傍/付近
を導入することで "lenibe-" で 「開始点より少し前段階」、つまり {pu'o}(将然の意味)に相当する語を、"cetibe-" で「終了点より少し後段階」、つまり 「つい~したばかりだ」に相当する語を作れます。自作言語では定義してませんでしたが、「とっくに~してしまっている」も便利そうなので、
・ -ip- : 参照点から離れた
も作っておくといいかもしれません。
方向、距離 というのはロジバンの間制の常套パターンなわけですが、それに事象段階点を加え、それを参照点にすることで、柔軟な相システムができあがるってわけです。
Q. 「これは時制をハイブリッドしていないか?」
A. してないと思います。あくまで、事象線の上での範囲指定なので、事象局面をなぞってます。たとえば、日本語で「とっくの昔に食べちゃったよ」というとき、相システム内のみで「完了点から離れた事象段階」が表せないので、時制と相のハイブリッド系、すなわち、「{puzu}の時点で {mo'u}した」という他ないわけです。しかしながら、相システムが柔軟であれば、「{ca}の時点で{mo'u}の後段階遠くだ」と言えます。個人的には、基本的に会話は{ca}に軸を据えておいて、大体のことを相で表してやるほうが好きなので(多分日本語がそうなのかな)、そっちに特化した表現もあっていいと思うんです。
このシステムの事象段階点は ZAhO によって {co'a}{co'u}{de'a}{di'a}{mo'u}{co'i}が用意されているので、導入すべきは「前段階」「後段階」を表す範囲方向の語と、「参照点付近」「参照点から離れた」を表す距離の語かと思います。距離の語はZI, VAをリスペクトすればいいわけですが、範囲方向が少し問題です。PUとZEhAがないまぜになったようなものですから。
とりあえず、XIhEI を導入します:
xi'ei: XIhEI; 事象段階がZAhOによって示される参照点の近くにあることを示す。
xu'ei: XIhEI; 事象段階がZAhOによって示される参照点の遠くにあることを示す。
これによって、
mi co'a xi'ei bajra : 私は走りだしたばかりだ/走りだそうとしている。
となります。おそらくこれは使い勝手が悪くてですね、やっぱり方向範囲あってのものですね。
で、実際問題、方向範囲というのは{pu'o}と{ba'o}のことですが、念のため作っておきましょう。
pu'ei: PUhEI; 事象段階がZAhOによって示される参照点より前段階にあることを示す。
bu'ei: PUhEI; 事象段階がZAhOによって示される参照点より後段階にあることを示す。
これより、peg としては、
interval-property <- number ROI-clause NAI-clause? / TAhE-clause NAI-clause? / ZAhO-clause NAI-clause?
これをいじりまして、
interval-property <- .... / ((ZAhO-clause NAI-clause? PUhEI-clause? XIhEI-clause?) / ((ZAhO-clause NAI-clause?)? PUhEI-clause XIhEI-clause?) / ((ZAhO-clause NAI-clause?)? PUhEI-clause? XIhEI-clause))
とすれば多分OKです。えっと、ややこしいですが要は
(ZAhO-clause NAI-clause?) .a (PUhEI-clause) .a (XIhEI-clause)
ということと、併立する場合はこの順に並ぶということです。
mi mo'u bu'ei xu'ei citka / とっくの昔に食べちゃった。
mi co'a bu'ei xi'ei bajra / 私は走りだしたばかりだ。
do mo'u pu'ei xi'ei finti lo pixra / 君は今にも絵を描き終えそうだ。
Q. 冗長では?
A. おっしゃりとおりで。何が問題かというと、全く完全にシステムを輸入してしまったことにあります。
では、以下に既存のシステムに組み込む形でできないか…を考えるべきですね。実際、先ほども言ったとおり、pu'ei, bu'ei というのは pu'o, ba'o で代用できます。
do pu'o mo'u finti lo pixra / 君は今にも絵を描き終えそうだ。
一応、相の連続表現について書いておくと、この用法はCLL10.21にもあって、
21.2) la djordj. ca'o co'a ciskaですので、意味的には (ZAhO (ZAhO SELBRI)) と捉えてOKなわけですね。
ジョージ [進行相] [開始相] 書く
ジョージは書き始め続ける。
ZAhOのキモはPUと違って、ZEhAをすでに包含している語があるということです。唯一ないのがZIに相当するものなので、XIhEIさえあればいいということになります。どうせなら、{zi}{zu}をリスペクトして、ZIhEIにしましょう:
zi'ei: ZIhEI; 事象段階が直前のZAhOによって示される参照範囲の境界から近い。
zu'ei: ZIhEI; 事象段階が直前のZAhOによって示される参照範囲の境界から離れている。
もっぱらこれらは、pu'o や ba'o に使われることを想定しています。
do pu'o zi'ei mo'u finti lo pixra / 君は今にも絵を描き終えそうだ。
do pu'o zu'ei mo'u finti lo pixra / 君は絵を描き終えるまでまだかかる。
「参照範囲の境界」とは、pu'o でいうところの co'a点、 ba'o でいうところの co'u点です。絵を描くと、
pu'o: ----|
ba'o: |----
の "|" の部分です。分かる通り、{pu'o}, {ba'o} 以外での意味がこれでは定まりません。
まずは{ca'o}ですが、これは、参照範囲の境界が2つあります。
ca'o: ... |----------| ...
この場合はどちらの境界から近いのかは不定であることにしておきます。
そのため、{ca'o zi'ei}「始まったばかりか終わる直前だ」はあまり使えないかもしれませんが、{ca'o zu'ei}はきっと「真っ最中だ」という意味で使えるかと思います。
次に段階点的アスペクト {co'a}{co'u}などですが、これらはそもそも参照「範囲」がなさそうです。しかしながら、「ゼロ距離」の概念をロジバンはよく使うのでそれをここでも適用します。つまり、
{co'a}: ...--|--......
{co'u}: ......--|--
とします。これらは{cazi}と{cazu}がそこまで大きく意味が変わらないのと同様、{zi'ei}と{zu'ei}でそこまで大きく意味が変わらない語群です。
mi ba'o zu'ei citka / とっくの昔に食べてしまった。
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