2015/07/27

"bridi" と "sumti"

参考
[1]:https://groups.google.com/forum/#!topic/bpfk-list/yChr3cGT1_Q/discussion
[2] :
http://mw.lojban.org/papri/gadri_%E3%81%AE%E8%AB%96%E7%90%86%E5%AD%A6%E7%9A%84%E8%A6%B3%E7%82%B9%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E8%A7%A3%E8%AA%AC#.E8.A4.87.E6.95.B0.E9.87.8F.E5.8C.96

色んなところで、ロジバンには独自の文法用語が存在すると言われています。事実、ロジバンには基本単語レベルで色々な文法用語を備えており、ロジバニストはその用語を使っています。

その独自用語のほぼすべてが gismu や、lujvo 由来のものであり、その用語の正確な意味はPSによって裏付けられます。最近はPSも大分洗練されてきており(年月がある程度経つことで使用の傾向が明確になってきた、という方が正しいかもしれません)、これは各独自用語の意味を明確に捉える足がかりができたとも言えます。そこで、基本的なロジバン文法用語を見直してみよう、というのがこの記事の主旨です。

この整理において重要なポイントは、それぞれの用語の項位置の型です。最もしばしば考えられるのは、そこに入るのは文字列なのか、もっと別のものなのかでしょう。

# bridi
{bridi} はもっともよく使われるロジバン用語です。現時点で、PSは次のように定義されています。

x1 (du'u) is a predicate relationship with relation x2 among arguments (sequence/set) x3.

ポイントは、「bridiのx1は命題(閉文の内包)が入ること」です。[1]において、selpa'i氏の例文:

 .i lo du'u mi prami do cu bridi lo ka ce'u prami ce'u kei mi ce'o do

が示すところによれば、

・ lo bridi : 命題(lo du'u [命題文] に相当するもの)
・ lo se bridi : 属性・関係 (lo ka [属性/関係文] に相当するもの)
・ lo te bridi : その命題の属性・関係で結ばれている対象の集合列

となります。selpa'i氏、guskant氏がこの例文に同意し、xorxes氏はツッコミを入れていないということを見る限り、これは現在のロジバンで合意が取れた事実と考えてよさそうです。

selbri や terbri は bridi を単に転換したものとして(少なくともロジバン定義では)定義されているので、 selbri は属性・関係を表すのことでなく、命題の構成要素である属性・関係そのものを表すということがわかります。

つまり、

.i lo du'u ko'a broda ko'e cu bridi lo ka ce'u broda ce'u kei ko'a ce'o ko'e

となります。命題文 「ko'a broda ko'e」 の selbri は {ce'u broda ce'u}によって表される関係のことであり、zo broda ("broda"という語)のことではありません。

関連して、最近登録された lujvo に selbrisle があります:

x1 selci lo sinxa be lo selbri

これは、selbri の記号(つまり、ある命題の関係/属性を表す語句)の最小単位(いわゆる、tanru-unit)として定義されており、{lo selbrisle} は語句/文字列のことを指します

# sumti
これもかなりよく出てくる用語ですね。これは、

x1 is a/the argument of predicate/function x2 filling place x3 (kind/number).

と定義されており、x1, x2 は文字列であるという注釈があります。[1]を見ても、{lo sumti} は「話題にする対象を指す記号、あるいはその記号を代入できる記号」と定義されており、たしかに x1 は文字列だろうということが伺えます。

一方で、jbo定義によると、

x1 se tisna x3 no'u pa lo te bridi be x2

でありますが、この時点で食い違いが生じています。 x2 は selbri に相当するので、これは記号ではなく、関係/属性の場所です。{se tisna} は 「を満たす」という意味なので、 「x1 という記号は x3 (terbriの1つ)を満たす」 となるのですが、微妙ですね。

とりあえず、lo sumti が記号であるということを前提に話をするなら、 sumti という語が表す関係性というのは、bridi と違って、統語論的な(つまり語と語の)関係を表していそうです。

となると、少なくとも no'u 以下の部分は

... no'u pa lo te bridi be la'e x2

とすべきでしょう。しかしながら、そうしたところで、{pa lo te bridi} は terbri のうちの1つを指すわけですから、記号ではなく、関係/属性(la'e x2)に取り結ばれた対象を指すことになります。たとえば、

zo mi sumti zo prami lo pamoi

は、「"prami"の表す関係性によって取り結ばれる対象たちのうちの1番目は "mi" によって満たされる」 となります。より良い定義として、

x1 sinxa x3 no'u lo pa me lo te bridi be la'e x2

を提案したいと思います。これで解釈すれば上の文は、「"mi" は "prami"によって表される関係性が取り結ぶ対象たちのうちの1番目のものを指示する」となります。

bridi が [1] で命題を表すことになったことで、完全に統語論的な役割を表す言葉(今までの selbri に相当するもの)がなくなってしまったように思います。

少し取り留めがなくなってきたので、一旦ここで締めます。


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