・ lujvoとtanru
まずはlujvoの立ち位置から説明していきましょう。とは言うものの、詳しい内容はwavelesson13章にありますので、ここではlujvoとtanruの違いについて簡単に述べます。
tanruの意味については、3章でやった通りです。たとえば、魚finpeと男nanmuを繋げたtanru, finpe nanmu は、「魚と関係のある男」という意味でしかなく、「魚売りの男」とか「魚人」とか「魚が好きな男」とか、あらゆる意味になりえます。このtanruがどういう意味として解釈されるかは文脈と聞き手の頭の良さと良心に委ねられていると言ってもいいでしょう。あ、あとtanruのPSは一番右側のbrivlaのPSと等しい、ということもやりましたね。
一方でlujvoの意味は一義的です。これがtanruとの大きな違いです。色々なことが吟味されて、一般的なlujvoは作られます。普通、lujvoはその場その場で作ることは不可能に近いです。lujvoは丁寧に作られた後、一義的なPSが設けられて、めでたく公式辞書に掲載される、というのもwavelessonでやりましたね。
・簡単に作れるlujvo
しかし、そうは言いましたが、いくつかのlujvoはいとも簡単に作れてしまいます。SE類(se,te,ve,xe)やNAhE類(na'e, no'e, to'e)を含むselbriは、tanruのように意味が如何様にも取れてしまうことがないので、lujvoを作る際の複雑な手続きをスキップできるのです。
SE類やNAhE類を取り込んだlujvoが作れるように、こういった語にはrafsiに相当する語が割り当てられています:
SE類 | |||
se | te | ve | xe |
sel | ter | vel | xel |
NAhE類 | ||
na'e | no'e | to'e |
nal | nor | tol |
例として、se dunda をlujvo化させてみましょう。
dundaのrafsiは dud と du'a がありますので、これと組み合わせて作るのです。
しかし、語末は必ず母音じゃないとダメなので、dudは今回は使えませんね。
ということで、se dunda から sel + du'a = seldu'a という語が作れます。
「いや、でも会話中にrafsiなんか思い浮かばない」って人が多いと思います。
実は「gismuそのままの形」もrafsiのひとつとなっているので、seldunda もlujvo化の結果のひとつとなります。これならse dundaでいいじゃん、っていう声もありそうですが…笑
ちなみに、このgismuそのままの形をrafsiとして用いたlujvoのことを「非縮退lujvo」と言ったりします。短いrafsiのみを使ったlujvoのことを、「完全縮退lujvo」といいます。一応知っておいてください。
・クリアすべき基準
複雑な手続きをスキップできると書きましたが、それでも必要最低限の基準はクリアしていなければなりません。それのひとつが、禁則文字列の回避です。禁則文字列については補足1で説明していますので、そちらを見て下さい。例を挙げると、lumci(洗う)から「洗剤」という言葉を作る、すなわち ve lumci をlujvo化する際に、vellu'iとはできません。このように禁則文字列が生じてしまう場合は、緩衝材として「y」を挟んでおきます。つまり洗剤はvelylu'iとできるわけです。
もうひとつが、brivlaであるための条件「最初の5文字に二重子音が含まれる」です。こういった場合には、基本的にr (次に来る文字がrのときはn)を処置として挟みます。まあでも、この条件はより一般的なlujvoを作る時に必要となるだけで、今回のような簡単なlujvoを作るときには考慮しなくてもいいでしょう。既成のlujvoを覚えるときに、rやnが出現したら、このことを思い出してください。
・覚えておくと役に立つかもしれないlujvo - 抽象lujvo
発展的な使い方については触れずに、初歩的なことだけ説明します。これだけでも十分、役に立つと思うので。
抽象lujvoとは、その名の通り、抽象詞(6章)を使ったlujvoのことです。抽象詞、つまりNU類にもrafsiが割り当てられています:
NU類 | ||
nu | ka | ni |
nun | kam | nil |
一応説明しておくと、nuは「出来事」、kaは「性質」、niは「量」を抽出する抽象詞です。
抽象詞自体の説明はおいといて、これらをlujvoの構成要素として使うとどうなるかについて話していきます。
いくらかロジバンで文を書いてきた人なら分かると思うのですが、「lo nu SELBRI」という表現がよく出てくると思います。英語の不定詞のtoの代わりといっても過言ではないですからね。
「lo nuなんてもうコリゴリだ!」って人がいたら、朗報です。nuをlujvo化で取り込んでやればいいのです。例えば、lo nu citka 「食べること」は、lo nuncitka と表現することができるのです。
「これのPSはどうなってるの?」という質問にはスルーさせてもらいます。今回はNU類のlujvo取り込みによってsumtiを簡潔に(?)書く方法を教えたいだけだからです。
他のNU類、kaやni はといえば、日本語でいう「~性」とか形容詞を名詞化した「~み」という表現、または「~さ」や「~度」といった表現をするのに使えるのです。
kam : 「~性」「~み」
nil : 「~さ」「~度」
これらを踏まえて、例えば、nunydzu [nu cadzu](歩くこと/歩き)、kamtsu [ka rotsu](厚み)、kambla [ka blanu](青み)、 nilju'i [ni jundi](丁寧さ)、 nilfi'e [ni finpe](魚度(魚っぽさ)) などが表現できます。
※nunydzuのyはndzという禁則文字列の緩衝材として入っています。
・覚えておくと役に立つかもしれないlujvo - 比較級、最上級
zmadu, mleca, zenba, traji を使うことで、比較級や最上級を作ることができます。規則的に簡単に作るためにある規則を設けるので、それについて説明します。
まず、zmaduとmlecaから始めます。
zmadu : z1 は z2 よりも、z3(性質/数量)の点で、z4(度合)ほど卓越している > mau
mleca : m1 は m2 よりも、m3(性質)に関して m4(数量)ほど少ない > me'a
例えば、若いという概念は「citno」で表せます。このPSは、「c1 は c2(基準)において若い」となっており、lujvo化した citmau は次のようなPSをもちます:
citmau : z1=c1 は z2=c1 よりも z4(度合)ほど若い
次に、規則を導入します。それはPSに関するもので、「比較対象は常にx1とする」というものです。つまり、
x1 のほうがx2よりも~~~
というPSを持つと規定します。ですから、klama + zmadu = klamau は、「z1 のほうが z2 より多く k2 へ k3 から k4 を通って k5 で行く」となります。
klamaのx2を比較したいときは、転換してやります(これについては注意点があります。最後に述べます)。つまり、selklamau は、「z1 へのほうが z2 へよりも多く k1 が k3 から k4 を通ってk5 で行く」となるのです。
他にも、nelcymau 「z1 のほうが z2 より n2 を z4(度合)ほど好く」があります。ここで注意してほしいのが、「nelc」というrafsiです。これはnelciの語末の母音をとった4文字rafsiです。上のほうでやった5文字rafsiの他に、すべてのgismuにはこの4文字rafsiもあります。4文字rafsiを使う際は、間にかならずyを挟みます。
以前の状態と比較するような比較級には zenba/jdikaを使います。例えば、「より強い」という意味の語は「tsamau」「tsaze'a」の2つが考えられます。前者は、「他の誰かと比べてより強い」となり、後者は「他の時点に比べてより強い」となります。ふつう、他の時点は”以前”を指します。
zenba : x1はx2(性質/数量)に関してx3(度合)だけ増える > ze'a
jdika : x1はx2(性質)に関してx3(数量)ほど減る
最後に、trajiは最上級を示します。
traji : t1 は t2(性質)・t3(極性)・t4(集合/範囲)に関して極致(最上/最下) > rai
「xamgu : xa1 は xa2 にとって、xa3(基準)で良い/好ましい」を例に説明します。
xamguの比較級表現は、
xagmau : z1 は z2 よりも xa2 にとって xa3(基準)で z4(度合)ほど良い
となります。
そして、xamguの最上級表現は、xagraiとなり、
xagrai : xa1=t1 は t4(集合/範囲)に関して xa2 にとってxa3(基準)で最も良い
となるのです。trajiの元々のx4の比較領域のsumti位が、最上級表現ではx2にくるという規則があることに注意してください。
比較級・最上級を表現するには他にも、tanruを使う方法、sumtcitaを使う方法があります。これについてはまた別途できたら説明したいと思います。
※上2つの話の詳細はCLL12章の12節、15節を見て下さい。
・SE類とNAhE類の係る領域
klamauに転換を施したselklamauについて注意点があると、先ほど書きました。これは何かと言うと、selがlujvoのどの部分に係っているのかということです。
これは、2つ以上のrafsiからなるlujvoにさらにSE類やNAhE類のrafsiを付け加えるときに大事になってきます。原理は至って単純で、selやnalは直後の語(rafsi)のみに係ります。
ですから、先ほどのselklamauは ((sel kla) mau) となり、上述のようなPSをとるのです。
さて、しかし、selklamau と se klamau はPSが違いますね。se klamau をlujvo化するにはどうすればいいのでしょうか?つまり、klamau全体にselが係るようにするにはどうすればいいでしょうか?
この解決策は、20章でやったkeのrafsi、 kem を使うということです。ということで、se klamau をlujvo化するには、 selkemklamau とすればいいわけです。
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