2013/05/12

Lojban Lessons - 1章( bridi, jufra, sumti, selbri)

Lojban Lessons - 1章( bridi, jufra, sumti , selbri)

bridi はロジバンの発話(発言)における核となる部分です。この概念は日本語でいう「命題」に非常に近いものです。bridi とは「いくつかのモノ・ヒトが互いとある関係にある」もしくは「あるモノにとある性質が備わっている」ということを主張するものです。これはjufra と対照的なものです。jufraは単にロジバンの発言のことをいい、bridiよりも広い概念です。この2つの違いは、bridiは何かを言明・主張するものであるのに対し、jufraは必ずしもそうでないというところにあります。ですから、bridiは真偽を問える一方で、jufraは全部がそうとは限りません。
[注: bridiならば必ずjufraですが、逆は必ずしも成り立ちません。]

いくつか例を挙げましょう。「モーツァルトはどんな時代においても最も偉大な音楽家だった。」はbridiです。なぜなら、この文は真偽を問うことができ、あるモノ(モーツァルト)と性質(どんな時代においても最も偉大な音楽家である)を含んでいるからです。反対に、「うわっ、つま先が!」はbridiではありません。というのも、この文は関係性を含んでおらず、故に何かを主張しているものではないからです。しかし、どちらも発話ですからjufraです。

次の日本語jufraの中からbridiを見つけよ。
  1. 「君がそんなことをするのは嫌いだね。」
  2. 「走れ!」
  3. 「わあ、それ美味しそう!」
  4. 「げぇ、もううんざり。」
  5. 「いいえ、私は車を3台持っていますよ。」
  6. 「8時19分」
  7. 「今週の土曜日、うん。」
Answer: 1, 3 , 5 が bridiです。 2 は対象を含んでいませんし、その他は関係性や性質についての言明がありません。

ロジバン文の「パーツ」を見ていきましょう。bridiは1つのselbriといくつかのsumtiからなります。selbriとはモノについての関係性や性質を表すもので、sumtiはある関係にあるモノのことをいいます。ここで注意してほしいのですが、「モノ(object)」というのは「sumti」の完璧な訳ではありません。というのも、「sumti」は物理的物体を指すだけでなく、「戦争という概念」のような純粋に抽象的なものも指すことができるからです。よりよいsumtiの訳は「対象・直接的あるいは間接的なモノ(subject, direct or indirect object)」であり、selbriは「用言(verb)」となるでしょう。しかし、後々わかってくると思いますが、どちらも最高の訳とはいえませんので、selbriはselbri、sumtiはsumtiとして理解しましょう。
さて、最初の大事なポイントを学んでいきます。

bridi = selbri + 一つ以上のsumti

言い換えれば、bridiは「いくつかのsumtiはselbriによって表されることをする/ものである」ということを表すわけです。

次の日本語jufraについて、sumtiとselbriに相当する語句を答えよ。

「私は娘を車で迎えにいくつもりだ。」

Answer: selbri: "迎えにいく”. sumti: “私”, “娘”, “車”

「彼はマークからたった20000円で新しいシャツ5着を買った。」

Answer: selbri: “買った” sumti: “彼”, “新しいシャツ5着”, “マーク” , “20000円”

これらの概念はロジバンにとって基本的なものですから、もうひとつ例を出します。
「今のところ、EPAは二酸化硫黄の排出量についていくらか対策している。」

Answer: selbri: “対策している” sumti: “いくらか”, “EPA” , “二酸化硫黄の排出量”


それでは、実際にロジバンbridiを作りましょう。そのために、selbriとして働く単語が必要ですね。
[注: このようなselbriとして働く単語のことをbrivlaといいます。頭の隅にでもおいといてください。]

dunda  x1 は x2 を x3へ 与える(支払い無しで) 
pelxu  x1 は黄色い
zdani  x1 は x2の家だ

これらの単語に対応する日本語の単語(与える、黄色い、家)はそれぞれ、動詞、形容詞、名詞と品詞が異なります。ロジバンでは、そういった区別がありません。dundaは「与える」(動詞)、「贈与者である」(名詞)、「与える性質がある」(形容詞)と訳されますし、副詞のようにも訳されることがあります。[注:形容詞に関してですが、英語でis givingです。日本語に上手い訳がないですね。] これらはすべてselbriとして働けるので、文法的には同じように使うことができます。

同様に、sumtiとして働く単語もいくつか挙げましょう。

mi 「私」「私達」 :発話者 
ti 「これ」 : 話者によって指された近くにあるモノや出来事
do 「あなた」 :話しかけられている人、話を聞いている人

さきほどのselbriの訳に見慣れないものがありましたね、x1,x2,x3です。これらはsumti位(sumti places)と呼ばれるものです。sumti位はbridiを完成させるためにsumtiがハマり込む場所のことです。sumtiをはめ込むことで、それをその場所にフィットさせることができます。例えば、dundaの2番目の位置の意味は、「与えられるモノ」です。3番目は「受け取る対象」です。dundaには英語でいう「to」や、日本語でいう助詞「は、を、に」が元々内蔵されているのです。英語では「受け取る人」を表すためにtoをわざわざ用意する必要がありますが、ロジバンでは「受け取る人」はdundaの3番目のsumti位と決まっています。ですから、dundaの3番目のsumti位を満たせば、そのはめ込んだsumtiがいつでも「受け取り人」の意味になります。toのような語句がロジバンでは不要なのです!
[注: ロジバンには格が存在しないとも言えます。しかし、これでは覚える量が膨大になってしまうのでは、と思う人もいるでしょう(いちいちPSを覚えなければならないため)。英語でいう前置詞が存在しないわけではなく、厳密にはそれに相当する表現はあります(9章-sumtcita)。詳しいことはここでは述べませんが、移動のtoに相当する語 seka'a などもあります。大事なのは、英語のtoは意味的に曖昧・多義的であり、ロジバンの前置詞相当語句はそういった曖昧性が少ないということです。]

bridiを作るには、単にx1のsumtiを最初に、次にselbriを、そして他のsumtiを言えばよいのです。
たいていのbridiは次のような構造をとります:
{x1 sumti} {selbri} {x2 sumti} {x3 sumti} {x4 sumti} {x5 sumti} {その他諸々}
この順番は色々と変えることができるのですが、今のところはこの形で覚えてください。「私はこれをあなたに与える。」は、 mi dunda ti do と言えばいいですね。

それでは、「これは私の家です。」はなんと言うでしょうか?

Answer: ti zdani mi

位置構造(place structure)という概念に慣れるためにもう少し練習してみましょう。

「あなたはこれを私に与える」は?

Answer: do dunda ti mi

では、ti pelxu を訳してみてください。

Answer: 「これは黄色い。」

コツを掴んだらなんてことはないですね!
[注:PS構造は定義されたものですが、デタラメに決められたものでは決してありません。入念に議論に議論を重ねた結果、できあがったものです。いくらか法則(絶対的ではない)がありますので、参考にしてください。:

① x1はしばしばselbriの行為者、主体である。
② x2は大抵、主体になされるもの(客体、目的格)になる。
③ あまり使われない位は後ろの方にいく。基準とか方法とか原料がこれにあたる。]

複数のbridiは.i で区切ります。これはいわゆる「ピリオド」に相当するものですが、多くの言語と違って、.iはbridiの前に置きます。最初のbridiでは.iを省くことが多いです。例を見てみましょう。

ti zdani mi .i ti pelxu 「これは私の家だ。これは黄色い」

次の章に進む前に、今回やったことを頭に馴染ませるために7分以上は休憩することをお勧めします。




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