やはり「量化詞」って名前だけあって、述語論理が顔をぬっと出すのがこの話題ですね…。
とりあえず、やむを得ず、述語論理から1つだけ用語を借用します:
議論領域: bridiを発言する際に、話題にしている範囲。その発話の参照する領域。
小難しく書きましたが、例を挙げればなんてことはないものです。
まず議論領域というのは必ず文脈を介して決定します。次の発話を考えてみます:
lo ninmu cu melbi
このlo ninmu は一体どの範囲のlo ninmuでしょうか?
・世界中の女性
・クラスメイト
・行きつけのバーの客
・・・・・
これはまさにその時どんな話をしているかに依存します。
このとき、世界中の女性とかクラスメイトとか…というのが議論領域となっているわけです。
さて、話を進めます。bridiにはもちろんsumtiが含まれています。
議論領域の中には、発言されるsumtiの指す対象が全部含まれています。
これは先ほどの議論領域の定義から明らかですね。
図にしてみました:
この図において、□sumtiの参照しうる対象は4つ、○sumtiの参照しうる対象は3つ、△sumtiの参照しうる対象は5つあるということになります。
当然ながら、このすべてが議論領域に含まれています(含まれてなければ参照できないし)。
シチュエーションを行きつけのバーにしましょうか。
その日、男は3人、女は4人いて、本が5冊あったとします。
そして、次のようなことをマスターにつぶやくとしましょう:
lo nanmu cu dunda lo cukta lo ninmu - 男は本を女にあげる。
もっと良い物あげろよ…とか思いますけど、そこはご愛嬌で… .u'i
さて、この呟きは真でしょうか?偽でしょうか?
実はこれはまたもや文脈に依存します。
つまり、上の3つのsumtiは文脈によって定まるある「変数」のようなものなのです。
量化詞のないsumtiは"変数"である。代入は文脈によって行われる。 |
この青い矢印は文脈で決まるものです。
文脈で決まるということは、発話時点ではこのbridiの真偽は判定できません(ふつう、発話は文脈の中でなされるものですから、実際は発話した瞬間にそのbridiの真偽は決定します。ここで言いたいのは、仮想的にbridiを文脈から引き離した場合、量化詞のないsumtiをもつbridiの真偽は決定できない、ということです)。
これは各sumtiが"自由"な状態にあるからと考えられます。
文脈によってその自由が奪われ、真偽が決定するのです。
この"自由"というのがキーポイントです。
量化詞がつくと、そのsumtiは文脈無しに自由を奪われてしまうのです。
バーの女性陣に着目して、次のようなことを言ったとしましょう:
lo ninmu cu melbi - その女は美しい。
lo ninmuには量化詞がついていないので、文脈なしでは自由な状態にあります。
これに量化詞をつけてみましょう。例えば:
ro lo ninmu cu melbi - (バーの)女はみんな美しい。
量化詞がつくと、sumtiは議論領域の対象すべてを参照します。
まあ、roならこのことは当然のように思えます。
すべての女が美しいかを調べるには、議論領域の対象すべてをみないといけないですから。
では、次の場合はどうでしょう?:
re lo ninmu cu melbi - (バーの)女の2人が美しい。
このbridiについて、次のように考える人がいるかもしれません:
「これは議論領域の女から恣意的に美しい女性を2人選べということだ!」
残念ながら、この考えは誤りです。
なぜなら、量化詞のついたsumtiはとにかく「議論領域すべての対象を参照する」からです。
量化詞のついたsumtiは議論領域の対象をすべて参照する |
一人目、…美しくないな。
二人目、おお綺麗!
三人目、…言うのもはばかられる…(失礼)
四人目、好み!美しい!ねえオススメのカクテルがあるんだけどどう?
さて、美しい人は無事2人いましたね。いや、ちょうど2人いましたね。
このとき、re lo ninmu cu melbi は真となります。
分かりますか?全員綺麗なら、re lo ninmu cu melbi は偽なのです。
どの lo ninmuを選ぶかを決めるために文脈が不要ですね。そういう意味で"自由"がないのです。
"自由"がないので、このsumtiは"束縛"されているとでもいいましょう。
このように、量化詞がつくと、そのsumtiは自由を失います。
言い換えれば、文脈によって決めなければならない箇所がひとつ消えます。
bridiがそれ自体で真偽判定できるのに一歩前進するのです。
気をつけたいのが、量化詞 pa ですね。
pa lo ninmu cu melbi と lo ninmu cu melbi は、意味が全く違うことに注意して下さい。
【量化】とは、
返信削除① 【ある事象のモノ】を数値化する事 →【数量化】
② 【言葉でのセンテンス】は、一階術語論理
③ 【数そのモノ】は、二階述語論理をもともと保持
量化された自然数は、
返信削除[絵本]『もろはのつるぎ」で・・・
数の計量構造は、πと1 とを同格で取り扱いたい・・・
返信削除√6〇÷□如来蔵